最近はずっとジョバンニアレヴィの曲を練習している。色んなピアニストの楽譜を取り寄せて弾いてはみるのだけど、結局ジョバンニの曲が一番弾きたくなる。彼の曲は作りが本当に独創的でワクワクする。
数年前、彼とゆっくり飲みながら色んな話が出来たことは、僕の人生の中でも大きな転換点になった。数々の質問にとても気さくに答えてくれた。その中の少しを紹介しよう。
作曲の時、常に楽譜に落とし込むのか?→昔は楽譜を書かなかったことも多かったけど、今では必ず楽譜に起こすようにしている。
ライブ中にアドリブ要素を入れることはあるか?→入れない。
ピアノ以外の曲を作ることはあるか?→オーケストラ、そしてギター曲も作っている。作曲家だからね。
Giochi D’Acquaという曲がお気に入りです→4/4拍子の曲が好きな人が多い中、そういう人は珍しいので、嬉しい。
ピアニストと呼ばれることについて→自分はピアニストではなく作曲家なのでそう呼んで欲しい。
印象に残っているのはこれくらいかなぁ。不思議なくらい考え方が似ていて、驚くことが多かった。
インタビューではついつい天才肌のぶっ飛んだピアニスト!みたいに紹介されることが多いけれど、それは全然違う。彼は彼なりの哲学に基づいて論理的に考えてるし、それを言葉で整理もしている。結局のところ、音楽をするにあたって材料もレシピも皆そう大差ない。セオリーの中にその人のちょっとしたクセが少し入り込み、その少しが最終的な印象を変えるに過ぎないのだ。
ところでいわゆるクラシック・ピアニストと作曲家のピアノプレイは全然違う。クラシック・ピアニストが必死に練習してる間に作曲家は曲を書いているので、技術的な差はどうしても出てくる。しかしそれでも、作曲家が自分の曲を弾いた時の説得力は、(たとえそれが技術的に劣るとしても)真に迫るものがある。それを知ってるからこそ僕は曲を作り続け、そして自分で弾くのだ。