昔知り合いが「歯のメンテナンスに行かなきゃ」と言っていて、それまで歯のメンテナンスなんて概念の無かった僕は衝撃を受けた。どれくらいのペースで行くのか聞くと、「うーん、三ヶ月くらいかなぁ」と言うのである。なにそれカッコいい…。

不思議なカッコ良さを覚えた僕はその後歯医者を予約した。「メンテナンスで」と伝えると「あ、メンテナンスですね」と返された。その言葉がすんなり伝わったことに一種の快感を覚えた。

診察に行き「どれくらいのペースでメンテナンスされてるんですか?」と聞かれたので「まあ、三ヶ月くらいですかね」と答えるとすごく褒められた。歯科衛生士さんらが総立ちで拍手し、院長先生からは「君、若いのに見どころがあるな!」とお褒めの言葉を頂いた。たぶん。

ともあれこうして僕のメンテナンス人生がスタートした。歯医者に行くとすごく気持ちが良い。全部綺麗にしてもらえるし、点検してもらえるので精神的にも良い。一般的に歯医者さんは褒め上手だ。「綺麗にしてますね!いやーよく磨いてるなぁ。でもちょっとだけ、ほんとにちょっとだけなんだけど、ここだけね、きちんとやってくださいねぇ〜〜」とこんな調子である。本当はやんわりと注意されているのだが、やはり褒められると気分が良い。人は褒められて伸びるのだ。

ところで歯医者さんは保険外治療について結構ナーバスである。患者としては保険内でやってもらう方が金銭的にありがたいけど、歯医者さん的には保険外でもっといい治療があるのにと歯痒い思いをすることが多いらしい。「保険外治療なんて医者が儲かりたいだけだろ!保険内で全部済ませやがれキーッ」なんて言わずに、耳を傾けてみるといいのかもしれない。歯の治療は僕らが思ってるよりずっと進化しているのだ。

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