昔北京大学で演奏の予定があったのだけど、当時中国国内では対日感情が悪化していて、日本人の出演はやはり難しいということになり、直前になって僕だけ出演キャンセルになってしまった。ちょうど三菱の車が破壊されたりしてた時の話である。

暇だったので会場の外に出ると、犬がウンコしてるところに遭遇したので、「中国の犬がウンコしてるのはなかなか珍しいぞ」と思い写真を撮っていた。すると同行していたスタッフに「プライバシーだぞ!」とたしなめられた。ごめんワン。犬も心なしかバツの悪そうな顔をしていた。

まあそんなクソみたいな話は置いといて、海外のステージに立つ時に「微力ながら世界平和に繋がれば…」とか、「お互いを知るきっかけになれば」などと考える人もいるのかもしれないけど、僕はそういうことは考えない。昔はちょっとは考えたこともあったけど…基本的にはどどこでやろうとも同じ気持ちで演奏する、そういうことを大事にしてきた。

カフェでやろうがイベントでやろうが、大きいホールでやろうが海外でやろうが、同じ気持ちで演奏する。一度演奏が始まってしまえば、どこにいたって同じなのだ。「中国の人はこれが好きだから」と何かを変えることも基本的にはない。もちろん向こうで有名な曲をカバーしたりするのもいいのかもしれない。けど自分の側に寄せてこられると、とたんに冷めてしまうことだってあるのだ。イタリアから来たジョバンニアレヴィに「ハナミズキ」なんて弾いて欲しくないのと同じ気持ちである。いつも通りの彼のステージを観たいじゃない。

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