ずっと爪はコーティングするのがデフォルトだった僕が「ひょっとして生爪もありなんじゃ?」と思い出したのは、スカルプチャーをメンテナンスするタイミングで、ちょっとめんどくさくて生爪のまま適当に弾いていた時であった。強さはないが奥ゆかしく繊細な音がする。

ラインを通して弾いてみたらどうかと思ってスピーカーから音を出してみると、リバーブのノリが物凄くいい。「ふ、ふつくしい…」いやほんと、普段コーティングしてる人は一度試してみて。化粧のノリがいいというか、雑味のないピュアなサウンドがするのである。

生音で弾くと当然音量感は下がるので、それまでの大きい音に慣れてる人には物足りなく感じる。しかしそれは自分が麻痺してるからで、人に聴かせると「十分大きい音出てると思うよ?」といった反応が返ってくる。

これは意外といけるかもしれないと思い、確かFacebookライブ配信をした。すると「音が良い!」という反応がすごく多かったのだ。いや生爪でなくてもその反応はあるでしょうと思うかもしれないが、なんというかやってる本人にしか分からない微妙な「熱量の違い」を感じたのだ。「めっちゃ良い音!」「惚れる!」「結婚して!」「扶養だ!」などの感想が飛び交っていた(たぶん)。

人によって目指すサウンドは違うので自分の場合のことにしか言及出来ないが、生爪はスカルプチャーよりジェルよりずっとメロディが立つように感じる。それまで聴こえづらかった部分が、膜が一枚取れたようにクリアになった。芯を捉えたサウンドとでも言うのだろうか。さらに音色はとても温かい。

また、低音がかなり出る。やはりスカルプチャーのような硬い素材を当てると低音がスポイルされるのだ。だから僕はいつも低音をブーストしていたのだけど、生爪にしてからはEQはフラットでもすごく温かい低音が出せるようになった。ライブの音作りはかなり早くなった。

強くアタックをかけてもピーキーなサウンドにならないので、むしろアップテンポな曲の方が良い仕上がりを見せるようになった。ストロークしてもメロディが埋もれない。明らかにお客さんの反応も変わった。うちの父親まで、「メロディがすごく前に出るようになったねぇ」と言っていたのを覚えている。

ちょうど同時期に西村歩さんも生爪に切り替えていた。サウンドメッセの時に二人でお茶をしたのだが、「生爪いい感じだよ、俺はそんなに叩いたりとかもしないし」という話をしていた。彼はそれから生爪でのサウンドを確固たるものにしたようだ。

僕の場合は音数が多い曲を弾いていると少しずつ爪先が削れていくので、それを防止するために軽くネイルエンビーというトップコートで爪の上半分のみコーティングしていた。コーティングと言っても、生爪を少し保護するだけなのでこれまでのコーティングとは考え方が違う。それに、これを塗ることで、音色のザラ付きを程良く落ち着けることが出来る。

↑ネイルエンビー 。一応、爪の保護のためのものらしいが、やっぱり化学薬品なので爪へのダメージはある。その点で商品説明がミスリードな気がするが…そして剥げやすい。まあでも使い勝手は良い。

生爪についてはここまでにしておこう。最後に以下の動画を紹介しておく。この動画は生爪にネイルエンビーを少し塗っただけの爪で弾いている。↓

次回で最終回です。笑 次回は⑤現状報告編!その他のコーティング材についても紹介します。

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