僕は結構な近代史ファンである。1870〜1950年くらいの歴史はどれも好きで、NHK「映像の世紀」は観た回数で言えば全国トップクラスだと思う。好きな漫画はかわぐちかいじ「ジパング」である。

よくよく考えると、この素地は小さい頃に作られたのかもしれない。父が教員であった我が家には「はだしのゲン」が全巻あり、小さい頃から何度も読んでいた。今思えば漢字や難しい言葉などは結構「はだしのゲン」から学んだような気がする。全セリフを覚えているし、悲しい部分だけでなくギャグ部分もあるので普通に漫画として楽しんでいた。というか最初はギャグ漫画だと思っていた。無知とは怖いものである。

ちなみに「はだしのゲン」ばかりが有名だが、我が家にはその下地となった「ゲキの河」や「黒い雨に打たれて」など他の中沢漫画も揃っていた。今思えばすごい環境である。反戦教育について父は何も語らなかったが、その環境は驚くほど強烈な基礎を僕の中に作った。

「はだしのゲン」の隣には日本の歴史図鑑のようなものが並んであり、実はこれも結構読んでいた。最初は縄文時代とかが面白いなーと思っていたのだけど、近代史の巻になると白黒の写真が増え、被爆された方の写真なども掲載されており、「はだしのゲン」の世界を別の角度から眺めることになった。学校の社会科資料集では得られない、強烈な体験だった。

大学で一番仲の良かった友人おのっちは、日本史の中でも近代史を専攻していてこの面でも話の合う友人だった。学生時代は二人でジパングについて語り合ったものである。(その後ジパングは無事に最終回を迎え僕は涙したが、彼の中では特別な感情は芽生えなかったらしいのが少し寂しかった…笑)

僕は特別な主義主張を持たないし、そもそも政治の話が好きではない。ほどほどに日本の誇りを持ち、ほどほどに国際感覚を持った普通の人間である。それでも8月は特別な気持ちになるし、ガダルカナルとかミッドウェーといった地名を聞くと気持ちがざわつく。僕の親世代ですら風化してる戦争の記憶が何故か僕の中にありありと生きている。これが教育なのだろう。

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