日本のフィンガースタイルギタリストの草分け的存在である中川イサトさんの訃報が届いた。享年75歳。ご冥福をお祈り致します。
イサトさんのCDやDVDは大学生の時によく聴いていた。あの頃はギター音楽を貪るように聴いていたな…自分で録音したものと世の中のCDを何度も何度も聴き比べて、どうやったらちゃんとした音になるのかを毎日研究していた。懐かしいな…。で、プロとアマの違いは何か?というと「そもそもギターが違う」という身も蓋もない結論に至ったのであった。これは冗談ではなく真実で、どれだけ練習してもギターの個体の持つ限界を超えることはないのだ。そこで出会ったのがフルヤギターで、このギターを手に入れてから飛躍的に音が良くなった。
話は脱線したがイサトさんである。僕にとっては師匠である岸部眞明さんの師匠なので、師匠の師匠ということになる。学生時代にギター合宿に参加させて頂いたり、フィンガーピッキングデイの打ち上げで少しお話ししたりと僅かではあるが接する機会があった。怖そうなイメージがあったが実際にはとても優しく、笑顔で話して下さった。
先生や師匠と呼べる存在は非常に大きい。その人から学べることの大きさもさることながら、自分より年上の人が現役でいてくれることで、下の世代には本当に励みになるのだ。
ミュージシャンは生涯現役であり、老後という概念がない。なので日頃から食事管理をし、ジムに行き、また勉強をすることで未来に備えるのである。しかしそれだけでは足りない。上の世代のエネルギーが必要なのである。自分の先を行く人が必要なのだ。僕にとってそれは岸部眞明さんであり、彼にとってはイサトさんであったのだと思う。
世界に影響を与えたイサトさん、お疲れ様でした。安らかに眠って下さい。